第43章 歩く薔薇

野村香織はこのヨットをとても気に入り、自ら「フェアリー号」と名付けた。

名前は少しダサいが、彼女が気に入ったのならそれでよく、星野旭もそれについて特に意見はなく、すぐに登録手続きを手配し、ヨットにペイントを施した。

……

星野旭と別れ、市街地に戻った野村香織は、のんびりと車を運転しながら、自分の誕生日プレゼントを見て、これ以上ない程の幸せな気分だった。

「姉さんはクイーン、自信に輝いて…」と野村香織は歌を口ずさんだ。

別荘の門に着いたところで、小村明音からのメッセージを受け取った:「愛しい香織ちゃん、寂しい?誰かと一緒にいたい?夕方5時、大富豪クラブ、天尊88888号室で、お風呂に入ってあなたを待ってるわよ〜」

野村香織は目を回した。この小村明音は本当に大胆になってきている。もしこのメッセージをスクリーンショットしてネットに投稿したら、彼女のスター生活もここまでだろう。でもこれは、小村明音が彼女を百パーセント信頼している証拠でもあった。