第44章 小村明音の贈り物

野村香織は近づいて、手を上げて個室のドアを軽くノックした。「明音さん、来たわよ!」

しかし返事はなく、代わりにドアが少し開いた。野村香織は深く考えずに、誰かがドアをきちんと閉めていなかったのだろうと思い、中に入った。

「パン、パン!」まず、クラッカーの音が鳴り響いた。

「Happy Birthday……」続いて小村明音の甘い声が聞こえた。「美しい野村さん、お誕生日おめでとう!」

花びらが空中を舞い、カラフルな花びらが野村香織の頭に付き、まるで花嫁のように彼女を飾り付けた。花のように咲き誇る野村香織を見て、小村明音は目を見開いたまま見とれていた。

「ねぇ、あなたって本当に綺麗すぎるわ。まるで妖精みたい!」小村明音は野村香織の周りを回りながら言った。彼女は野村香織の美しさに完全に魅了されていた。

「もう、よだれを垂らすのを控えなさい。あなたの彼が嫉妬しちゃうわよ」柴田貴史を見ながら、野村香織は冗談を言った。

柴田貴史は花束を抱えながら野村香織を見つめ、その目には驚嘆の色が浮かんでいたが、不純な感情は一切なかった。ただ純粋に野村香織の美しさを賞賛しているだけだった。

「野村社長、お誕生日おめでとうございます。申し訳ありません、家内は世間知らずで」柴田貴史は花束を野村香織に渡しながら、もう一方の手で小村明音を自分の側に引き寄せた。

小村明音は美しい瞳をパチパチさせながら野村香織を見つめ、その眼差しには賞賛と羨望が込められていた。野村香織の親友として、彼女が美しいことは知っていたが、こんなにも美しい野村香織を見るのは初めてだった。

「香織ちゃん、今夜本当にスリルを求めに来たの?前はこういうスタイル大嫌いだったのに、今日はどうして急に目覚めたの?」小村明音は尋ねた。

野村香織は花束を抱えながら、三段のケーキの前に歩み寄り、頬を膨らませて強く息を吹きかけた。瞬時にすべてのろうそくが消え、それから彼女は言った。「前は好きじゃなかったけど、これからずっと好きじゃないってわけじゃないでしょう。特に深い意味はないわ、単に雰囲気を変えたかっただけよ」

そう言って、花束とハンドバッグを置き、デキャンタを優雅に持ち上げて自分のグラスに注いだ。