去年の今頃、小村明音はある豪邸に目をつけました。総額は10億円で、柴田貴史へのサプライズにしようと、彼に内緒で貯金を始めました。外見は派手でも、実は毎月ベルトを締め、できるだけ出費を抑えていたのです。
これがなければ、彼女の稼ぎからすれば100万円以上なんて大したことありませんでした。でも柴田貴史が年初に彼女にプロポーズしたことで、プレッシャーは更に大きくなりました。その豪邸を新居にしようと考えていたからです。表面上は稼いだお金をすぐに使い果たしているように見せかけ、浪費家のような印象を与えていましたが、実は全て貯金していたのです。
「もう、そんなこと言わないで。私たちってどんな仲よ。彼氏以外なら、私のものは全部あなたのものよ」と小村明音は言いました。
野村香織は頷きました。「うん、その通りね」