第69章 協力関係を結ぶ

オフィスの雰囲気は緊張していた。三人とも誰も話さず、柴田貴史は笑顔を浮かべていたが、心の中では極度に居心地が悪かった。野村香織はソファに座り、頭を上げず目を開けずに携帯をいじっていて、渡辺大輔を全く見ようとしなかった。

なぜか柴田貴史と野村香織が同じソファに座っているのを見ると、渡辺大輔の心は不快だった。本来ならこの時間に重要な内部会議を開く予定だったが、朝にトレンド入りを見てから会議を延期し、購買マネージャーに代わって自ら来たのだった。

彼が調べたところ、事態は柴田貴史が言うようなものではなかった。確かに彼は若手実業家だが、彼の周りには女性はおらず、昨日錦都から戻ってきたばかりで、すぐに野村香織をランチに誘ったのだ。純粋な賞賛だとか、幼なじみだとかいうのは、全て野村香織への好意を隠すための言い訳に過ぎなかった。

愛以外に、渡辺大輔には考えられなかった。出張から戻って最初にすることが会いたがることや、ある女性についてそのような評価をすることができる理由が、他に何があるというのか。

元々疑っていたが、今柴田貴史と野村香織が一緒にいるのを実際に見て、彼は完全にこの考えを確信した。この二人は恋愛関係にある!

これらを理解すると、渡辺大輔は突然心が乱れるのを感じた。なぜこのような感情が湧いてくるのか自分でもわからなかったが、確かなのは、元妻がこんなにも早く他の男性を好きになることを受け入れられないということだった。この事実は彼には耐えられなかった。

お互いの人生後半の戦友になると約束したはずなのに、彼は騙されていたのか?野村香織の彼への所謂愛情はこうして消え去ってしまったのか?

「えーと、渡辺社長、お茶はいかがですか?」柴田貴史が尋ねた。

雰囲気があまりにも気まずく、息苦しさすら感じたので、雰囲気を和らげる口実を探そうとしたが、渡辺大輔は彼を見向きもせず、ただ野村香織を見つめ続けていた。

柴田貴史との食事の時とは違う服装で、今日野村香織はふわふわのカジュアルウェアを着ていた。美しい容姿、完璧なスタイル、艶やかさと清純さが調和し、まるで純血のラグドールのように、美しく優雅だった。