芸能界の道を歩むことを決めた以上、彼女が欲しいのはお金だけではなく、万人の注目を集め、人々に敬愛される大スターになることだった。そうでなければ、自分の優秀さを証明できないと思っていた。
「野村香織でも小村明音でも、どちらも覚えておきなさい。いつか必ず、あなたたちを踏みつけて、みんなの笑い者にしてやる」関口美子は心の中で憎々しげに思った。
小村明音と比べると、野村香織は全く気にしていなかった。というより、このような子供じみた手段など、彼女の注意を引くに値しないと思っていた。どうせ彼女は上田勇から提供された爆弾的な情報を持っているのだから、それを暴露すれば関口美子は地獄に落ちることになる。しかし、今はそうしたくなかった。優しさからではなく、年末が忙しすぎて関口美子に構っている暇がないだけだった。だから、しばらくは関口美子に好き勝手させておこうと思った。