芸能界にいる青木翔は、このようなゴシップニュースをあまり信じていなかった。彼の知る限り、柴田貴史は渡辺大輔によく似た人物で、どちらも典型的なワーカホリックで、一分一秒でも机に向かっていたいタイプだった。柴田貴史は起業してからこれまで、恋人はおろか、恋愛すら一度もしたことがなかったため、彼は柴田貴史と野村香織の間に何か怪しい関係があるとは全く信じていなかった。
しかし、今、自分の目で見て、耳で聞いて、青木翔は心の中で叫んだ。「くそっ!俺の目は節穴だったのか……」
ある種の効率とは、人の恋愛を知らないうちに、その人がすでに新居まで購入しているということだ。これでも恋愛と言えないのなら、子供ができてからでないと恋愛とは言えないのだろうか?
分譲センターを出て、青木翔は携帯を取り出し、すぐに渡辺大輔に電話をかけた。渡辺大輔の親友として、彼らは少なくとも30年の付き合いがあった。離婚してから、渡辺大輔の変化を全て見てきた彼は、離婚が影響を与えていないなんて、死んでも信じられなかった。