第132章 あなたは本当に美しい

元旦でも春節でも、野村香織にとって、あらゆる祝日は社長として社員に紅包を配る日であり、苦労するのは彼女一人だけで、喜ぶのは皆だった。

過去3年間、渡辺家の生活の世話をしなければならなかったため、会社のことに手が回らず、ほとんどすべての紅包は斎藤雪子が代わりに配っていた。今年は違う。自分で紅包を配る楽しみを味わってみたかった。

会社のグループチャットを開き、野村香織は即座に超大型の紅包を配信した。ただし、運試しタイプの紅包で、100元以上当たる人もいれば、数元しか当たらない人もいた。

瞬く間に、会社のグループチャットは賑やかになり、全員が紅包を受け取り、グループ内で野村香織に感謝の意を表した。中には厚かましくもう一回という絵文字を送る人までいた。

誰も予想していなかったことに、野村香織は本当にもう一つ紅包を配信し、しかも総額は先ほどのものよりも大きかった。すると作業用グループは狂喜乱舞し、グループに紅包があることを知った人々は、受け取れなかったため涙目の絵文字を送った。

野村香織は口角を上げ、紅包を配るのは本当に気持ちがいいと感じた。ただ、他人が受け取る時は少し痛い気持ちになったが、このくらいの金額は彼女にとって大したことではなかった。

「シュッシュッ...」と連続して10個の紅包を配信すると、オフィスグループは沸騰した。他の人は絵文字で盛り上がるが、彼女たちの美人社長はお金で盛り上げた。

グループ内の紅包が全て受け取られたのを見て、野村香織は携帯を脇に置き、立ち上がってバスルームで簡単に身支度を整えた後、フェイスマスクを貼った。今日は元旦で、杉村俊二の母に会いに行く日でもあった。

今や彼女と杉村俊二は協力関係にある。協力関係である以上、できる限り最善を尽くさなければならない。少なくとも「彼女」としての誠意を示す必要があった。

渡辺家に嫁いで3年、彼女は3年間下女のように過ごした。年長者との付き合いの経験はあったものの、良い経験ではなかった。渡辺家は内外を問わず、上から下まで、彼女を好む年長者は一人もおらず、また彼女に会うことも少なかった。そのため、彼女のそれらの経験はほとんど役に立たなかった。結局のところ、大多数の家庭は渡辺家のように歪んでいるわけではないのだから。