第147章 差出人不明の宅配便

ずっと以前から、野村香織は彼女の心の中で越えられない大きな山であり、それこそが野村香織に言われたことを何でも喜んで実行する根本的な理由だった。だって野村香織は彼女のアイドルなのだから。

野村香織は冗談めかして言った。「仕方ないわ、私って小心者で、恨みを持つタイプなの。」

斎藤雪子と仕事の話を少し続けた後、野村香織は電話を切った。今日の気分は上々で、特に用事もないので、ドラゴンキング・エンターテインメントに立ち寄ってみようと思った。実際、彼女は多くの企業を所有していたが、普段最も頻繁に訪れるのはドラゴンキングだった。やはりドラゴンキングは芸能事務所で、全体的な雰囲気が比較的リラックスしており、さらに高級感があったからだ。

それでもドラゴンキング・エンターテインメントには10日か半月に一度しか行かず、毎回短時間しか滞在しない。放任主義の経営者、仕事をさぼる人という八文字を見事に体現していて、新入社員の多くは彼女を芸能人だと勘違いしているほどだった。