ここまで話すと、野村香織は一旦言葉を切り、深く息を吸って言った。「第一ラウンドの投資は終了し、皆さんの発展状況も大体把握しています。年明けには第二ラウンドの投資が始まりますが、今日見せていただく財務諸表のデータが十分魅力的であれば、第二ラウンドでも魅力的な価格で投資させていただきます。」
竹島晴翔は実のところ投資家を変えたくなかった。この数ヶ月間、彼は研究開発チームを率いて順調に前進し、会社の発展に伴い、彼の交友関係も広がり、多くの新興企業の起業家と知り合った。資金調達は各企業が輝かしい未来へと進む唯一の道だが、野村香織のように率直でシンプルな投資家ばかりではなかった。
以前、彼の先輩が起業した時のことがあった。最初は順調に進んでいたプロジェクトが、投資家を変更したことで、新しい投資家に細かく指図され、強制的に介入され、結局プロジェクトは完成前に様々な理由で頓挫してしまった。
野村香織がエフジェーテクノロジーに投資して以来、ほとんど会社の発展状況を尋ねることもなく、内部の管理や人事配置に干渉することもなかった。毎月末に斎藤雪子を通じて財務諸表を要求するだけで、重要な会議にも出席せず、すべて斎藤雪子に代理出席させていた。彼の目には、野村香織はただ資金を提供するだけで、それ以外は何も関与しない大物経営者に映っていた。彼女は参加も干渉もせず、会社の状況を尋ねることもなく、過程を気にすることもなく、最終結果だけを重視していた。
時々竹島晴翔は野村香織を本当に尊敬していた。もし自分が投資家の立場だったら、決して彼女のようにおおらかにはなれないし、彼女のように潔くもなれないだろう。だからこそ、彼は心から野村香織との協力関係を継続したいと思っていた。先ほど野村香織の約束を聞いて、彼は全身が軽くなったように感じ、懸念していた心配も finally解消された。
この期間のビジネス経験を通じて、彼も厳しいビジネス界で多くのことを学んだ。彼から見れば、彼らのような研究開発チームは、どんなに強い実力があっても、ビジネス界で投資家の理解とサポート、さらには公平な扱いを得ることは贅沢なことだった。しかし幸いなことに、彼とチームは幸運だった。なぜなら、野村香織という大物経営者に出会えたからだ。だから彼らは協力関係を継続するために、最も誠実な態度で臨むつもりだった。