第158章 美しい価格

ここまで話すと、野村香織は一旦言葉を切り、深く息を吸って言った。「第一ラウンドの投資は終了し、皆さんの発展状況も大体把握しています。年明けには第二ラウンドの投資が始まりますが、今日見せていただく財務諸表のデータが十分魅力的であれば、第二ラウンドでも魅力的な価格で投資させていただきます。」

竹島晴翔は実のところ投資家を変えたくなかった。この数ヶ月間、彼は研究開発チームを率いて順調に前進し、会社の発展に伴い、彼の交友関係も広がり、多くの新興企業の起業家と知り合った。資金調達は各企業が輝かしい未来へと進む唯一の道だが、野村香織のように率直でシンプルな投資家ばかりではなかった。

以前、彼の先輩が起業した時のことがあった。最初は順調に進んでいたプロジェクトが、投資家を変更したことで、新しい投資家に細かく指図され、強制的に介入され、結局プロジェクトは完成前に様々な理由で頓挫してしまった。