第157章 誠実な付き合い

斎藤雪子は頷いた。「はい、野村社長。では、この件は一旦保留にさせていただきます」

彼女は野村香織の下で長年働いてきたため、野村香織が物事を考える際の視点や立場をよく理解していた。投資と同じように、これまで野村香織が重要視したプロジェクトは一つも失敗したことがなかった。この数人の異動について、野村香織が後で検討すると言ったということは、その中に彼女が不適切だと感じている人がいるということだった。

「そうそう、もうすぐ年次総会ですが、各社があなたの出席を希望しています」と斎藤雪子は続けた。

彼女が言い終わる前に、野村香織は「都合が悪いと伝えて。業務総括と計画は彼らに任せなさい」と言った。

「承知しました。オフィスに戻りましたら、各社の来年度の業務計画概要をメールでお送りします」と斎藤雪子は頷いた。

慣例として、野村香織は各社の年次総会には出席しないものの、各社の年間業務計画概要は必ず彼女のメールボックスに送られる。概要が野村香織の審査を通過した後、斎藤雪子が彼女の代理として各社の年次総会で発表を行う。各社もこれにはすっかり慣れていた。

もちろん、野村香織はオーナーとして非常に気前が良く、各社の年次総会の際には自腹で多額の資金を提供していた。そのため、各社の従業員は野村香織のことをとても好意的に見ていた。彼女は見栄を張ることもなく、会議で原稿を読み上げることも好まず、さらに「与える術」をよく心得ていた。このような経営者を誰が好きにならないだろうか?

野村香織は頷いた。「わかった。修正したら送るわ」

数分後、斎藤雪子にいくつかの事項を指示した後、彼女はドラゴンキング・エンターテインメントを車で出発した。年末が近づいており、竹島晴翔と話し合うべきことがあった。第一次投資を経て、エフジェーテクノロジーは新たな発展と進歩を遂げ、そのアプリも周辺地域での試験運用を開始していた。春節後には、契約に従って第二次投資を行う予定だった。ベテランの投資銀行家として、彼女は当然第二次投資でさらに投資を拡大したいと考えていたが、具体的な状況については竹島晴翔と相談する必要があった。

「社長、竹島さんとのアポイントメントを取りました。場所と時間は携帯にお送りしました」と斎藤雪子が電話で伝えた。

野村香織は頷いた。「ご苦労様。あなたは他の仕事を続けて」