第177章 1週間の猶予をやる

天満奈津子は即座に否定した。「まだ出てないわ、まだ出てないの。鑑定結果はまだ出てないから、噂だけを信じないで」

そう言い終わると、思わず付け加えた。「あの転心瓶は絶対本物よ。父が1000万円もかけて買ったのよ。偽物なんてあり得ないわ。でも今はそれは重要じゃないの。大事なのは私たちの賭けに問題があるってこと。この賭けはあなたにとってとても不公平だわ。もし鑑定結果が本物だったら、あなたは私たちに1000万円賠償して公開謝罪しなければならない。でも逆の場合は私が謝罪するだけでいい。だからちょっと意地悪な感じがするの。だから私たちの賭けを取り消すことにしたわ。今すぐ前に撮った動画を削除するから、あなたも早く削除して。この賭けはなかったことにしましょう」

言い終わる前に、彼女は携帯を取り出してその動画を即座に削除し、野村香織に見せた。まるで野村香織が信じないことを恐れているかのようだった。

彼女の演技が十分だと見て取った野村香織は、冷笑して言った。「天満さん、後悔したんですか?負けるのが怖くなって動画を消したんでしょう?あなたにとって賭けは遊びかもしれませんが、私にとってはそうじゃありません。私は何をするにも真剣です。中途半端なことは一切しません。私が言ったことや、したことは、すべて実行し、認めます。前に賭けをした時はとても明確で、動画も証拠としてありました。あなたは消してしまいましたが、私のところにまだあります。賭けは既に成立している以上、勝っても負けても結果を受け入れなければなりません。あなたが取り消したいからといって、いつでも取り消せるわけではありません。誰もがあなたと一緒にごっこ遊びをする時間があると思っているんですか?」

ここまで言って、彼女はオレンジジュースを脇のテーブルに置き、腕を組んで言った。「それに、この賭けは私が最初に提案したものです。だから不公平な点はありません。たとえ不公平な部分があったとしても、私は納得済みです。だから賭けは予定通り進めます。ただし...」

「ただし、何?」天満奈津子は緊張した様子で尋ねた。

野村香織は軽く笑って言った。「ただし、鑑定結果が出て、自分が負けたことを知ったから、この賭けを取り消そうとしているんじゃないですか?今はきっとすごく不安なんでしょうね?」