第181章 引っ張り合いの当選券

野村香織は小村明音の小さな口を押さえながら、嫌そうな顔で言った。「もういいわよ。私のことが大好きだなんて、お金が大好きなだけでしょう。あなたはもうすっかりお金に目がくらんでいるのが分かるわ。」

小村明音は甘い声で言った。「お金も好きだけど、あなたの方がもっと好きよ〜」

床に置かれた大きな現金の箱を見ながら、野村香織は笑って尋ねた。「どう?二千万円の現金、重くない?」

小村明音は頷いて答えた。「大丈夫よ。お金がもらえるなら、二十億円でも運べるわ。」

野村香織は白い目を向けた。「見なさいよ、その出来の悪い様子!」

財務報告書によると、ドラゴンキング・エンターテインメントは今年、4年連続で利益を倍増させるという素晴らしい業績を達成した。年初めにドラゴンキング・エンターテインメントが投資したバラエティ番組原作の映画が大ヒットを記録し、観客動員率は映画界の記録を次々と更新し、最終的な興行収入は56億円に達した。

そのため、野村香織も今では大きな利益を上げており、従業員に福利厚生として1億円を出すのもたいしたことではない。小村明音もドラゴンキング・エンターテインメントのベテラン級タレントの一人で、現在は業界のトップ女優の一人となっている。彼女に一位を与えても全く過分ではなく、最も一般的なスタッフでさえ、正社員であれば一人当たり100万円のボーナスを受け取ることができる。

年末パーティーで現金で年末ボーナスを配布するのも野村香織のアイデアだった。今日の現場の効果を見ると、1億円が皆の目の前に置かれた時、それは間違いなく衝撃的で、非常に視覚的なインパクトがあった。従業員たちも一人一人壇上に上がって賞を受け取り、興奮のあまり飛び上がりそうになっていた。その感覚は一言で言えば「マジで最高!」だった。

表彰式が終わった後、司会者は参加者たちを抽選会の交流イベントへと導いた。表彰式とは異なり、この抽選会はドラゴンキング・エンターテインメントの従業員に限らず、会場にいる全員が参加できるものだった。このことからも、野村香織というオーナーの度量の大きさと豪快さが窺える。会議での決定によると、今回の抽選ゲームでは、最下位賞でも5万円相当の現金が入った紅包が用意されていた。