一番奥の個室で、野村香織が座ってから2分も経たないうちに、ドアが外から開かれ、ピンクのセーターを着た川井若菜が入ってきて、野村香織に挨拶をした。「野村さん、お久しぶりです。」
「お久しぶり、どうぞ座って。」野村香織は頷いた。
川井若菜という人は、背が高くスタイルが良く、整った顔立ちで、生まれつき清純な美人の容姿を持ち、話す時は優しい声で、特に笑うと、両目が三日月のように細くなり、とても甘い印象を与える。彼女の笑顔を見ているだけで、気分が良くなるような人だった。
二人がそれぞれ席に着くと、野村香織は川井若菜と目を合わせた。視線が合った瞬間、川井若菜はたじろぎ、野村香織のアーモンド形の目を見つめながら、心臓の鼓動が乱れ、両手をどこに置いていいか分からなくなった。
彼女のその様子を見て、野村香織は口角を上げた。「緊張しないで、私は人を食べたりしないわ。」