第254章 話して私を喜ばせて

渡辺大輔は冷たい声で言った。「どこにいるんだ?」

青木翔は答えた。「空港のT4ターミナルだよ。荷物多いの?必要なら手伝いに行くよ。親友だからね?」

彼のそんな積極的な態度を聞いて、渡辺大輔は直接電話を切った。青木翔の腹の中の虫ではないが、彼が何を考えているかは分かっていた。案内板を確認して、渡辺大輔はT4ターミナルの方向へ向かった。

……

T4ターミナル。

遠くから、渡辺大輔は青木翔を見つけた。彼のカラフルな服装は派手すぎて、群衆の中でも一目で分かった。

青木翔を嫌そうに一瞥しながら、渡辺大輔はスーツケースを引いて近づいた。「何してるんだ?」

彼の声を聞いて、青木翔は急いで振り向き、驚いた表情で言った。「あれ?野村香織さんは?」

渡辺大輔の表情が暗くなった。この厄介者は他に取り柄がないくせに、よりによってそんな話題を出すとは。