第271話 見て!あれは野村香織!

しかし、彼らがしばらく芸能界から離れることを決めた時、ある監視カメラの映像がネットに投稿され、「衝撃!女優岡山美央子が人を殺して逃亡……」というテキストが添えられていた。

その動画が公開されると、ショート動画プラットフォーム全体がダウンするほどで、約3分の動画の再生回数は10億回に達した。動画には、2年前の夏、岡山美央子が環状線の側道で、スピードを出しすぎたため、父娘を直接はねとばす様子が映っていた。その父娘は衝突後すぐに反応がなくなり、運転していた岡山美央子はふらふらと運転席から出てきて、助手席にいた若いアシスタントにキャッシュカードを渡し、その後一人でタクシーに乗って現場を離れた。

飲酒運転、ひき逃げ、身代わりの雇用、この動画だけで岡山美央子は少なくとも3つの罪を犯していた。実は2年前にもネットに投稿されたが、川井星秋が多額の金で押さえ込んだため、知る人は少なく、真偽も判断できず、その後の展開もなかった。

しかし今や衆人環視の中、岡山美央子のチームは監視カメラの映像が公開されてから2時間も経たないうちに警察に連行された。この事件はネット上で大きな衝撃を与え、警察も再捜査せざるを得なくなった。

小村明音がこのニュースを知ったとき、彼女はまだ基地で次のシーンのセリフを覚えていた。本来の食事時間も野村香織に電話をかけるのに使った。「やばい!香織ちゃん、すごいじゃん。私が数日スマホを見てなかっただけで、岡山美央子の女神イメージが崩壊したの?」

野村香織は冷笑した。「女神?その言葉を侮辱しないでください。会社の広報部にやらせたの。」

小村明音は感心して言った。「あなたって本当にすごいわ。あなたみたいな人が古代にタイムスリップしたら、絶対に後宮争いで勝者になれるわ。誰も敵わないでしょうね。」

野村香織は口角を歪めた。「それって、私が陰謀好きだって言ってるの?」

小村明音は慌てて言った。「そんなことないわ!褒めてるのよ。音もなく人気女優を警察署送りにできるなんて、拍手喝采ものよ!」

野村香織は苦笑いしながら言った。「まあ、褒めてくれてるってことにしておくわ。実は最初、あなたに直接やってもらおうと思ったんだけど、あなたの知能じゃ失敗しそうだから、私が直接やることにしたの。」