まだ年が明けたばかりなのに、小村明音は撮影に引っ張られ、ドラゴンキングの件にも手が回らない状態で、今、岡山美央子が失脚したことを知っても、彼女を踏みつけるような気持ちにもなれなかった。
あれこれ考えた末、野村香織はその資料をドラゴンキングの広報部の人々に送り、これらのスキャンダルを業界内の影響力のあるマーケティングアカウントに無料で提供させることにした。後は岡山美央子の運を天に任せることにした。
やはりプロの仕事はプロに任せるべきだと言うべきで、岡山美央子の資料を研究した後、広報部の責任者から電話があり、この件について計画を立てた。まず、ネット上で知り合いの一部に岡山美央子のスキャンダルを流し、彼女が反撃を始めたら、第二波、第三波のスキャンダルを順次公開し、彼女の本当の姿を暴露する目的を達成するという。どうせ岡山美央子は後ろ盾を失ったのだから、好きなように扱えばいい。
以前なら、このようなことは全く現実的ではなかった。彼らが続けて情報を流す前に、清正エンタメの法務部から警告状が届き、どうしても駄目なら少しお金を使い、それでも駄目なら川井星秋が直接顔を出せば、すべての事は有耶無耶になっていただろう。
案の定、広報部責任者の采配の下、すぐにネット上で動きが出始めた。わずかなスキャンダルだったが、すぐに話題になり、岡山美央子もそれに気付いた。
最初、岡山美央子はあまり気にしていなかった。また以前被害を与えた何かの三流女優が裏で仕掛けているのだろうと思い、業界の人々に連絡を取り、少しお金を使えば解決できると考えていた。しかし、彼女を崩壊させたのは、この目立たない小さな問題が解決されないどころか、次々とスキャンダルがネット上に公開されていったことだった。
たった一日一夜で、事態は検索ランキング一位になった。そこで彼女はネット上で釈明を始め、多額の費用をかけて広報活動を始めたが、彼女とチームを絶望させたのは、彼女のスキャンダルを暴露している人物がお金に困っていないことで、彼女がいくらお金を使っても無駄だった。
数日間奮闘した結果、岡山美央子は完全にネット上で嫌われ者となり、様々な黒歴史が世間に知れ渡った。現在撮影中の作品も中断を余儀なくされ、投資家と監督は契約書を手に違約金を要求し、もともと満杯だったスケジュールと予定も全てキャンセルされた。