第289章 安井弁護士を探す

強盗罪の量刑基準は興味深く、強奪金額によって刑罰が段階的に分けられています。最低でも3年、最高で無期懲役または死刑ですが、通常、強盗中に傷害を引き起こさなかった場合は死刑にはなりません。野村香織も鈴木お婆さんをそのまま死なせたくはなく、棺桶に入る前に何年か刑務所飯を食べさせたいと考えていました。

野村香織のアーモンド形の瞳を見つめていると、なぜか渡辺大輔は心臓が一拍抜けたような気がしました。今の野村香織は魅力的でありながら不気味で、その断固とした決意は人を震え上がらせるものでしたが、このような状態の野村香織に特に魅了されました。以前はどうしてこのような一面に気づかなかったのでしょうか?

青木翔のあの生意気な口が言っていたことは正しかったようです。彼は以前、目が節穴だったのかもしれません。だからこそ野村香織の美しさと良さが見えなかったのでしょう。幸い、彼は時期を逃さず考えを改めることができました。

渡辺大輔は言いました:「手伝おうか?私には弁護士の友人がいるんだ。」

野村香織は眉を上げて:「私の予想が正しければ、あなたが探しているのは安井弁護士でしょう?」

彼女が一発で誰なのか当てたのを聞いて、渡辺大輔は突然、彼女の前で優位性が全くないと感じました。彼が知っている人たちを、野村香織も全員知っているのです。これでは彼が重要でなくなってしまいます。どうすればいいのでしょう?至急アドバイス募集中!

渡辺大輔は正直に頷いて:「ええ、安井弁護士です。」

話が終わるや否や、野村香織の携帯電話が鳴り始めましたが、彼女は電話に出ずに、渡辺大輔の方を向いて、前方を指差しながら:「渡辺社長、次の赤信号まで待つつもりですか?」

渡辺大輔は視線を戻し、運転に集中しました。電話は斎藤雪子からでした。先ほど森山悦子が生配信をしていた時、配信ルームが爆発しそうになっていたので、斎藤雪子はこのことを知るとすぐに野村香織に電話をかけてきたのです。

「野村社長、先ほどの生配信がネット上で大騒ぎになっています。対応する人員を派遣しましょうか?」と斎藤雪子は指示を仰ぎました。

頭上を通過する信号機を見ながら、野村香織は首を振って:「今のところ必要ありません。ただ、安井弁護士に連絡を取ってもらいたいのです。私のバッグが強奪されたので、今から警察に届け出に行くところです。」