第290章 特別捜査チームの結成

警察が何も言わないのを見て、渡辺大輔は顔を曇らせて言った。「白昼堂々と、人の財産を強奪し、高級オーダーメイドのバッグは90万円の価値があり、中には各種身分証明書やキャッシュカード、クレジットカード、現金などが入っていて、被害総額は数千万円に上ります。しかも公衆の面前での強盗は社会に深刻な影響を及ぼします。これでも立件できないというのなら、それはあなたたちの職務怠慢です!」

言い終わらないうちに、一人の警察官がドアをノックし、調書を取っていた警察官が「少々お待ちください」と言った。

二人の警察官が戸外で何かを話し合っていたが、警察署の部屋は防音効果が高く、彼らの会話は全く聞こえなかった。しかし、調書を取っていた警察官はすぐにドアを開けて入ってきて、野村香織を見上げて言った。「野村さん、たった今通知を受けました。あなたのこの事件のために、上層部が特別捜査本部を設置したところです。渡辺さんのおっしゃる通り、今回の事件は社会に非常に悪い影響を及ぼしましたので、我々も非常に重視しており、必ず早急に容疑者を逮捕し、全ての関係物品を取り戻します。」

野村香織は微笑んで言った。「ご迷惑をおかけしました。」

警察官は丁寧に答えた。「いいえ、私たちは人民に奉仕するのが仕事です。調書は完了し、基本的な事件の状況も把握しました。他に何もなければ、お二人はお帰りいただいて結構です。携帯電話は通じる状態にしておいてください。随時連絡させていただきます。」

野村香織は頷き、携帯電話を手に取って立ち上がり、渡辺大輔を見て言った。「一緒に食事でもどうですか?」

渡辺大輔は願ってもないことだった。「何が食べたい?」

男性が何でも答える従順な様子を見て、野村香織は呆れながらも面白く思った。「とてもいい屋台を知っているんです。和国の伝統料理ばかり作っているところですが、渡辺社長が気に入らないようでしたら、ご遠慮なさってください。」

渡辺大輔は上着を引き締めながら、野村香織の追い払おうとする意図を理解していないふりをした。「伝統料理はいいですね。私は伝統的なものが好きです。」