第323章 賭けの約束を果たす

彼は野村香織を見ると自分を見失うわけではなく、今日はそもそもゴルフをする気がなかったのだ。完全に川井遥香と青木翔に無理やり連れてこられただけだった。ただし、ここで野村香織に会えたのは、二人が間接的にいいことをしてくれたとも言える。

彼がやる気がないのを見て、野村香織はもう何も言わなかった。相手がやりたくないならそれでいい、自分には関係ないことだ。そこで彼女は川井若菜の方を向き、再び高度なテクニックを教えたが、残念ながら川井若菜の才能はあまりなく、野村香織の指導はほとんど無駄になってしまった。

遊んでいると時間が過ぎるのは早いもので、気づけば五人は午前中から夕方まで遊んでいた。日が暮れ始めた頃、みんなでクラブを片付けて帰ることにした。

みんな以前の賭けのことを忘れていたが、青木翔は久しぶりに勝ったので当然忘れるはずもなく、川井遥香に賭けの約束を果たすよう直接促した。そこで川井遥香は呆れた表情で正門の前に立ち、野村香織たちは七、八メートル離れた場所でその様子を見守ることにした。