分厚いメニューには720種類の料理が載っており、どれも逸品と言えるものばかりでした。野村香織は名前だけは聞いたことがあるものの、食べたことも見たこともない料理もありました。このことからも、龍門飯店は誰もが気軽に来られる場所ではないことが分かります。彼女は河東では古株の住人でしたが、今日青木翔たちと一緒に来なければ、河東にこのような高級な場所があることさえ知らなかったでしょう。
しばらくメニューを眺めているうちに、香織はこれらの料理の価格に対して麻痺してきました。一万元を超える料理を見つけたからです。その料理を境に、その後の10ページ以上にわたって、一万元以下の料理は一つもありませんでした。彼女はとても裕福で、お金に困ることはありませんでしたが、このような価格の料理に対しては、いくら余裕があってもこんな無駄遣いはしたくないと感じました。ただ、今日は青木翔のおごりなので、遠慮する必要はないと思いました。
最終的に、5人で8品の料理と1つのスープを注文しました。それは彼らが大食いだからではなく、この店の料理は死ぬほど高価な上に、量が少なすぎるからでした。8品の料理と1つのスープでも、少なめの注文と言えるほどでした。
渡辺大輔と離婚してから、周りの人々は香織から以前あった拝金主義的な雰囲気が消えたように感じていました。青木翔たちの彼女に対する見方や態度も大きく変わり、今では彼女と話せることを光栄に思うほどでした。川井若菜に関しては、もともと香織の大ファンで、今こうして近くで接することができるのは、彼女にとって何よりも幸せなことでした。
この食事は贅沢でしたが、味は本当に素晴らしく、あまり空腹ではなかった渡辺大輔でさえ、たくさん食べました。みんなで食べながら話し、雰囲気は和やかで心地よいものでした。
2時間後、香織は時計を見ると、もう夜の8時過ぎでした。外で一日中過ごし、あっという間に一日が過ぎてしまいました。お茶で口をすすぎ、口の中の食べ物の残りを全て綺麗に流し、それから立ち上がって皆に別れを告げる準備をしました。彼女は少し疲れていたので、家に帰って寝ようと思いました。
「香織さん、この後何か予定がありますか?」突然、青木翔が尋ねました。
香織は困惑した表情で「どうしたの?青木様も私を誘うつもり?」と言いました。