「キャディと一緒にプレーするから、行かないわ」と野村香織は断った。
青木翔は諦めずに言った。「でも、人数が多いし、みんなで集まって楽しく遊べるじゃないか」
「ごめんなさい。私、賑やかなのが一番苦手なの」と野村香織は再び断った。
目を動かしながら、青木翔はまた言った。「一緒に来てよ。今日は渡辺大輔も来てるんだ」
野村香織は意味ありげな笑みを浮かべながら青木翔を見た。「私たち離婚して一年以上経つのよ。元夫婦を一緒にゴルフに誘うなんて、適切だと思う?」
青木翔は反論できなかった。相手の言い分はもっともだと感じたが、心の中では疑問が残っていた。先日レストランで渡辺大輔と野村香織が一緒にいるところを見かけたのに、今日はどうしてこんなに冷たくなったのだろう?
「ああ、そうだ。川井遥香の妹の若菜も来てるんだ。さっきからずっとあなたのプレーを見ていて、プロ選手よりも上手いって褒めてたよ。彼女は初心者で、教えを請いたいんだけど恥ずかしがってて。だから僕が来たんだ。まさかあなたが...」と青木翔は慌てて説明した。