第319章 30%の版権

「おかしいな。うちのブルーライトメディアが『世の人』の版権を取得したことを、どうして知っているんだ?」青木翔は問い詰めた。これは企業秘密だぞ、冗談じゃない。間違いなければ、ブルーライトメディアも先月末にやっと版権を取得したばかりで、会社の版権部長以外は誰も知らないはずだ。

青木翔がまた考えすぎていると見て、野村香織は珍しく親切に説明した。「『世の人』の版権については、私たちも作者と交渉を続けていたわ。でも何度も価格を上げても、作者は私たちに売る気がなかった。この世の中に、お金を好まない人なんていないでしょう。だから作者はすでに版権を売却していて、独占契約のようなものも結んでいたはず。河東で私たちより先に版権を買える企業といえば、清正エンタメかあなたのブルーライトメディアしかない。清正エンタメは最近、社内で人員整理と大規模な刷新を行っていて、今年の主力はウェブドラマとバラエティ番組。そうなると最も可能性が高いのはブルーライトよね」

これを聞いて、青木翔は初めて笑顔を消し、真剣な表情を見せた。「そうか、版権部長が私を裏切るはずがないと思った。君の緻密な論理的思考力には感服したよ。もう推理されてしまったからには隠す必要もないだろう。その通り、『世の人』の版権は私が買い取った。でも、版権を君に譲渡するつもりはない」

野村香織が先ほど言ったように、この世に金を嫌う人はいない。『世の人』は近年の和国映画界でも珍しい、60年代70年代の和国の社会現実と庶民の生活を描いた作品だ。映画の後にドラマ化もできる。青木翔は市場調査を行っており、『世の人』でブルーライトメディアは間違いなく大きな利益を上げられる。こんな大きなケーキを他人と分け合う気にはなれなかった。

彼が分け前を出し渋るのを聞いて、野村香織は肩をすくめて言った。「そう、じゃあ残念ね」