第320章 ラッキーデー

野村香織が尻込みしそうなのを見て、青木翔は自分の口を叩きたくなるほど後悔した。どうしてこんなに余計なことを言ってしまったのだろう。慌てて説明した。「誤解だよ。後悔なんかしてないよ。後悔するわけないじゃないか。ただ君が『世の人』の著作権にどれくらい興味があるのか確認したかっただけさ」

彼女が逃げ出しそうな様子を見せる彼を見て、野村香織は笑って言った。「へぇ?じゃあ、本当のことを聞きたい?」

青木翔は頷いた。「もちろんさ。嘘を聞きたがる人なんていないでしょう?」

野村香織は言った。「本当のことを言うと、私は元々『世の人』の著作権にそれほど興味はなかったの。ただ単に、あなたを手伝うだけじゃ損だと思っただけよ」

青木翔:「……」

また正直な言葉に胸を突かれた一日だった。二人が言葉を交わしながら渡辺大輔と川井遥香たち三人の前に着くと、近づいてきた人が野村香織だと分かった渡辺大輔は表情を凍らせ、信じられないという様子で野村香織を見つめた。あのゴルフの腕前が素晴らしい人が野村香織だとは、つまり彼が心に思い続けていたあの女性だとは思いもよらなかった。