第316章 うわっ、極上だね!

小村明音が撮影クルー全員を連れて見物に行くと聞いて、野村香織はついに我慢できずに、頭を後ろに倒して大笑いした。その場面を実際に見てはいないものの、頭の中でその光景を想像することができた。

しばらく笑った後、野村香織は言った。「明音さん、やるわね。」

小村明音は照れ笑いをしながら言った。「あの女、ヒキガエルみたいで、人を噛まないけど不快にさせる上に、特にあなたを困らせようとするんだもの。」

電話の向こうで誰かが小村明音を呼ぶ声がした。野村香織は時計を見て言った。「もういいわ、無駄話はこれくらいにして。せっかくの休憩時間だから、早くセリフの練習でもしなさい。」

そう言って、彼女は電話を切った。富田玲香のぶっきらぼうな言葉を思い出し、また笑い出した。こんな大げさに人の騒ぎを見物に行くなんて、世界中で小村明音にしかできないことだろうと思った。