第330章 追いかけて事故に

今日のパーティーは本当に楽しかったのに、小島悠里と出会ってしまったせいで、みんなの気分が台無しになってしまった。最も重要なのは、彼が厚かましくも野村香織に近づき、謝罪までしたことだ。やっと野村香織の印象が少し良くなってきたところだったのに。彼は野村香織に特別な感情があるわけではなく、ただ良い関係を築きたかっただけなのに、その小島悠里のせいで、渡辺大輔は理由もなく叱られ、彼と川井遥香までも影響を受けることになりそうだ。これからは野村香織に会うたびに、また以前のような態度で接せられるだろう。今までの努力が全て無駄になってしまった。こんな不愉快な出来事があり、青木翔の心にはもうクラブに行く気持ちは残っておらず、早く帰って一杯飲んで寝たいと思うだけだった。

しかし、別荘のドアを開けたばかりのところで、携帯が鳴り出した。電話をかけてきたのは他でもない、元妻を追いかけに行った親友の渡辺大輔だった。「追いついたか？」

電話の向こうは少し雑然としていて、若い女性の声が聞こえてきた。「渡辺さんのお友達でしょうか？」

見知らぬ声を聞いて、青木翔は眉を上げた。「あなたは？」

若い女性はドラマのセリフのように言った。「はい、実は渡辺さんが環状三号線で事故に遭われまして、現在高橋病院で治療中です。もし渡辺さんのお友達でしたら、病院までお越しいただけませんでしょうか。」

青木翔は驚いて言った。「渡辺大輔が事故？今どんな状態？どこを怪我したの？深刻なの？」

若い女性は答えた。「渡辺さんの怪我の状態については私にはわかりかねます。私は親族や友人に連絡する担当の看護師ですので。ただ、渡辺さんは現在手術室で救命処置を受けています。」

青木翔は「……」

手術室と救命処置という言葉を聞いて、青木翔の頭は一瞬真っ白になった。その後、頭の中で渡辺大輔が全身血まみれで手術室に横たわり、体中に様々な管や医療機器が繋がれている悲惨な姿を想像してしまった。まるで夢を見ているような、全てが非現実的な感じがした。渡辺大輔は野村香織を追いかけに行ったはずなのに、どうして事故に遭ったのだろう？

青木翔は答えた。「わかりました。今すぐ行きます。どうか全力で助けてください。どんなに高価な薬や医療機器を使っても構いません。助かりさえすれば。」