第346章 小さな宿敵大集合

北川の夏川若様の顔を立てないわけにはいかず、宴会場のホテルの外には高級車が所狭しと並んでいた。5000万円以下の車はここに停める資格もないような状況で、野村香織はこの光景を見て、河東の社交界の名士の少なくとも90パーセントが集まっているだろうと推測した。北川不動産が河東で臨海公園を開発する件は最近話題になっており、多くの人々が様子を見に来て、チャンスがないか探っているようだった。

夏川若旦那は普段から不真面目そうで、だらしない態度を見せているが、実はかなり頭が切れる。ビジネス界の若手として、河東に来たばかりで四方から客を招待することを知っており、それは皆と顔なじみになるためだった。人は人によって高められ、そうすることで将来河東でより良く立ち回れるようになるのだ。

井上ホテルは全20階で、今日は夏川健志が貸し切りにしていた。有名な芸能人も多く呼んでショーを披露するとのことで、臨海公園のプロジェクトの成否はともかく、少なくとも派手な幕開けとなり、北川不動産は河東での第一歩を確実に踏み出したようだった。