渡辺大輔は野村香織を一瞥した。彼は既に公衆の面前で続けて告白したのだから、当然野村香織の反応を見たかった。しかし、彼女は淡々とそこに立ち、魅惑的なアーモンド形の瞳を渡辺大輔と夏川健志の間で行き来させているだけで、まるで無関係な傍観者のようだった。
野村香織のこの反応を見て、渡辺大輔は口をもぐもぐさせ、心臓がより一層痛むのを感じた。まるで何かが心の中に詰まっているかのように、呼吸さえ困難に感じられた。野村香織が彼を見向きもしない様子から、彼女が本当に彼のことを気にかけていないことが分かり、彼の心の痛みなど気にも留めないのは確かだった。
一分間の気まずい沈黙。丸一分間待っても、野村香織は一言も発しなかった。依然として他人事のような態度を取り続けていた。もし彼女の表情から何か態度を読み取るとすれば、それは苛立ちだった。まるで渡辺大輔が公の場で彼女に告白したことで、大きな面倒を引き起こしたかのようだった。