第350章 靴を舐める資格もない

渡辺大輔はワインを受け取り、一気に飲み干すと、グラスをテーブルに投げ捨てて外へ向かって歩き出した。彼のその様子を見て、青木翔は慌てて追いかけた。「おい大輔、どこに行くんだ?」

渡辺大輔は振り返って彼を睨みつけた。「うるさい、近づくな!」

青木翔のイヤらしくて煩わしい口が彼についてくる。彼は自分が我慢できなくなって青木翔の舌を結んでしまいそうで怖かった。先ほどの野村香織の反応で気分は最悪になり、今でも胸が痛くてたまらない。

「大輔ちゃん、落ち着いてよ。今日はここは夏川健志の縄張りだぜ。喧嘩するにしても今日じゃまずいだろ?」青木翔はまた軽薄な調子で言った。

「このクソ野郎、もしまだついてくるなら、今すぐボクシングジムに連れて行くぞ?」渡辺大輔は再び立ち止まり、凶暴な目つきで青木翔を見た。