第352章 事態が大きくなった

「そうね、私はまだ渡辺大輔のことを愛しているのかしら?彼に対してまだ何か感じているのかしら?」野村香織は心の中で自問していた。

渡辺大輔は幼い頃から好きだった人だ。野村香織はスマートフォンを見つめながら、次第に虚ろな目をしていった。自分の心が読めず、答えも見つからない。渡辺大輔は彼女の初恋で、永遠に忘れられない男性だった。

野村香織は小村明音の質問に答えなかった。答えが分からなかったからだ。眠気が襲ってきたので、彼女は言った。「もう話すのはやめましょう。少し疲れたわ。早く寝たいの。おやすみ」

小村明音は返事をした。「分かりました。では失礼します」

電話を切った画面を見つめながら、野村香織は先ほどのパーティーでの出来事を思い出した。実際、渡辺大輔の公の場での告白は、彼女の予想外だった。確かに心に小さな波紋を起こしたが、告白したところで何になる?彼女はあれほど尽くし、三年間も辛い思いをしたのに、渡辺大輔の一度の告白でそれが全て帳消しになるというの?