電話の向こうで、青木翔は渡辺大輔からの電話だと思っていたが、野村香織の声を聞いて慌てて尋ねた。「おや、香織さんか。どうして君からの電話なんだ?大輔はどうした?まさか気を失ったりしてないだろうな?」
野村香織は冷たい声で言った。「青木様、海外から戻って渡辺大輔を迎えに来るんじゃなかったんですか?今、大輔の熱を測ったら39.9度もありました。あなたが迎えに来ないなら、救急車を呼びますよ」
青木翔は慌てて笑いながら言った。「まあまあ、熱が出ただけじゃないか?何を心配することがある?大輔の体力なら大したことないさ。もうこんな遅い時間だし、病院に行くのは大変だろう。水をたくさん飲ませて、君のところで一晩寝かせてやってくれ。明日の朝には元気になってるはずだよ」
野村香織は眉を上げた。「つまり、迎えに来ないということですね?」