第391章 元姑姦が訪ねてきた

野村香織は少し驚いた。相手が全く遠慮することなく、直接目的を言い出すとは思わなかった。しかし、そうであればあるほど、彼女は混乱した。田中進は母と知り合いなのだろうか?年齢から考えると、そうはならないはずだが。

しばらく考えてから、野村香織は言った。「相手はいつ会いたいと言っていましたか?」

斎藤雪子は答えた。「相手はできるだけ早くと言っていました。口調からすると、かなり急いでいるようでした。」

野村香織は眉を上げた。「できるだけ早く?そんなに急いでいるの?じゃあ、あなたが適当に手配して、時間と場所が決まったら教えてください。」

突然、彼女は胸がドキドキし、何か空虚な感じがした。今回の田中進との接触で、何か起こりそうな予感がした。相手の目的が全く推測できず、善意なのかどうかも分からなかった。二人が電話を切ってから5分も経たないうちに、斎藤雪子から会う時間と場所を知らせるメッセージが届いた。

野村香織はベッドから起き上がり、ベッドの前で伸びをしながら、外の暗く雨の降り続く空を見つめた。彼女の表情も曇っていて、二日後の田中進との会面で一体何が起こるのか分からなかった。

……

平穏な一日が過ぎ、あっという間に次の日になった。野村香織がヨガをしているときにドアベルが鳴った。時計を見ると午前9時半だった。彼女は8時からヨガを始めて、ちょうど1時間半経っていたので、休憩するにはいい頃合いだった。そのまま玄関に向かい、モニターを見ると、驚いたことに、ベルを鳴らしたのは他でもない、しばらく会っていない元義母の二見碧子だった。

野村香織はすぐには庭に出て二見碧子に門を開けなかった。代わりに冷蔵庫から炭酸水を取り出して一口飲み、それから浴室で顔を洗い、清潔で爽やかな新しい服に着替えてから、ようやくゆっくりと別荘を出た。二見碧子が何のために来たのかは分からなかったが、良いことではないのは確かだった。

半年ぶりに野村香織と二見碧子が再会したが、野村香織は門を開けずに、門越しに尋ねた。「渡辺夫人、何かご用でしょうか?」

二見碧子は昨夜ほとんど眠れず、別荘の物をかなり壊してしまった。それでも渡辺大輔が何故謝罪を強要するのか理解できず、この憤りを飲み込むことができなかった。だから今日は野村香織に当たり散らしに来たのだ。誰かに腹を立てたら、その相手に向かっていくしかない。