第393章 バッグの争奪

二日後、野村香織は早起きした。今日は予定がびっしり詰まっていた。簡単な朝食を済ませると、光文堂グループの重要な株主総会に車で向かった。会議が終わるとすぐに、昼には竹島晴翔と会って話し合い、竹島晴翔の研究チームの次のステージの仕事について要求を出した。竹島晴翔を送り出した後、今季の光文堂の投資予定先のもう一人のプロジェクトマネージャーと会った。竹島晴翔の会社と同様、これもアプリを開発する会社だが、両社の製品は異なっていた。これは旅行アプリを開発する会社で、現在国内外で旅行アプリを開発している会社は多くなく、時々現れては歴史の流れの中に消えていく。野村香織が投資しようとしているこの会社は、旅行の行程計画に特化しており、仮称「プレイフルアプリ」とされていた。このアプリは顧客の給与収入、勤務時間、年齢、趣味などのデータを収集し、ビッグデータモデルで計算して、最終的に顧客に最適な旅行プランを提供するものだった。朝の株主総会での投票の結果、グループは「プレイフルアプリ」への投資を決定したが、相手は20パーセントの株式をグループに譲渡する必要があった。しかし、相手会社の社長である鈴木滝尾の要求は並外れて大きく、光文堂が投資に興味を示すと、一回目の投資で800万円を要求し、その代わりに30パーセントの株式を光文堂に譲渡すると申し出た。

相手のこのような強気な態度に、野村香織はその場で断った。800万円は彼女にとってはたいした額ではなく、光文堂グループにとっても九牛の一毛に過ぎなかったが、いくらお金があってもこんな使い方はしない。そのため、このプロジェクトは決裂した。しかし野村香織は全く後悔していなかった。プロジェクトは良かったが、創業者の人柄も重要だからだ。

時計を見ると、田中進との約束の時間が近づいていた。斎藤雪子が言った。「野村社長、私がお送りしましょうか。」

野村香織は笑って答えた。「いいえ、自分で運転します。あなたは早く仕事に戻ってください。」

斎藤雪子は頷いた。「わかりました。では仕事に戻ります。」

そう言って、斎藤雪子は大量の書類を抱えて去っていった。グループの筆頭秘書として、彼女は朝から晩まで忙しかった。光文堂グループ傘下にはたくさんの会社があり、毎日終わりのない仕事があった。