時田徹也は一瞬固まり、怒るどころか笑った。「いいね、いいね、これこそ南野星らしい姿だ」
ふん、南野星らしい姿なんて、あなたに何がわかるというの。
私は立ち上がってすぐに歩き出した。こんな人に対して、もう少しここにいたら、その場で吐いてしまいそうだった。
「南野星!」時田徹也が後ろから私を呼んだが、振り返りもしなかった。
「お嬢様!」入り口から突然二人が入ってきて、私は心が躍った。
「白川晴、白川浅里!」彼女たちが来たということは、加藤律と叔父さんも来たということだ!
白川晴と白川浅里の無表情な顔は、時田徹也を見た瞬間、少し変化した。
私は気にせず、尋ねた。「彼らはどこ?」
白川晴は言った。「私たちは加藤真凜お嬢様と一緒に来ました」
ああ、どうやら叔父さんはまだ姿を現すつもりはないようだ。それなら彼女に任せよう。
私は前の広間に行くと、すぐに男女の集団に囲まれている加藤真凜を見つけた。
「真凜!」私は急いで彼女の方へ歩いた。
加藤真凜は人々の間を分けて出てきて、私の手をつかんだ。「ああ良かった、やっと来てくれたのね」
「どうしたの?」私は振り返ってその人たちを見た。
加藤真凜は首を振った。「私にもよくわからないの。お兄ちゃんがこの変な人たちを紹介してきたんだけど、なんだか嫁探しに来たみたいな感じがするの」
私は心が引き締まり、もう一度その人たちを見た。
知っている人もいれば、知らない人もいる。
でも、加藤蓮が紹介したのなら、注意しなければならない。
「彼らは何を聞いてきたの?あなたはまだ高校三年生なのに、どうして嫁探しがあなたに向けられているの?」
「そうなのよ、本当に意味不明だわ。全部お兄ちゃんが悪いの、なんでこんなサークルに私を連れてきたのよ?」
「それにあなたもよ、どこに行ってたの?ひどいじゃない!」加藤真凜は不満を漏らした。
私は彼女の手を引いて、急いであやした。「ごめんごめん、私が悪かった、私が悪かった」
白川晴と白川浅里は遠すぎず近すぎない距離で私たちの後ろについていた。
加藤真凜が連れてきたので、誰も彼女たちを困らせることはなかったし、彼女たちが実際には私のボディーガードだとは誰も思わなかった。
正面から南野陽太とぶつかった。