第170章 温度上昇

車は遠くまで走り、私はバックミラーから山を振り返ると、フェニックスの木はもう見えなくなっていた。

「この山に名前はあるの？」と私は尋ねた。

加藤律は少し考えて：「君が名付けてみたら？」

私はあのフェニックスの木を思い出した：「フェニックス山はどう？」

加藤律は頷いた：「今度、誰かに頼んで入口に看板を立てよう。」

「いつこの山を買ったの？」と私は好奇心から尋ねた。

加藤律は少し黙った後：「怪我が治って帰国した後だ。」

私は舌を出した：「私と加藤蓮の婚約を知ってたの？」

加藤律は頷いて、少し恥ずかしそうに私から目をそらした。

私はもうメロメロだった。

前世では本当に目が節穴だったわ、こんな素晴らしい男性を見逃して、あんなクズ男にこだわるなんて。

幸い、神様は私にやり直すチャンスをくれた。

そう思うと、思わず両手を合わせて、心の中で仏様に感謝した。

「どうしたの？」加藤律が振り向いて私を見た。

私は彼に微笑みかけた：「お地蔵様に感謝してるの。夢を見せてくれて、私を目覚めさせてくれたから。そうじゃなかったら、あなたを見逃して、人生が無駄になるところだったわ。」

加藤律は右手で私の頭を撫でながら、少し不思議そうに：「たった一つの夢で、加藤蓮を否定したの？」

私は頷いた：「おかしい？事実が証明してるわ、私の夢は特に的中する。早めに損切りしないと。でも、あなたの話を聞いて、私は彼らに何かしなきゃいけないと思った。小さい頃からあんなに意地悪で、私を陥れようとしてたなんて、このまま許すなんて、私が損するわ！」

加藤律は苦笑いした：「あまりやりすぎないでね、自分を傷つけないように。」

「ふん！」私は気にしなかった。

加藤律は言った：「安心して、僕がいるから、誰も君を傷つけられない！」

その一言で私の心は溶けた、すぐに甘えた声で：「律くん〜、大好き、大好き、大好き！」

加藤律の首筋が薄っすらと赤くなった。彼は運転に集中して、私を無視した。

フェニックス山から帰ってきてから、私と加藤律の関係はさらに深まった。

私は毎日毎時間、愛の甘さに浸っていた。

加藤教授の授業は特に真剣に受けた。麦田絵麻以外、誰も私と加藤律の関係を知らなかった。毎週月曜の朝、私は加藤教授のベッドで目覚めるのだった。