第163章 道具

私は星を待ち、月を待つように週末の到来を待ち望んでいた。なぜなら、明日は加藤律と一緒に出かけられるからだ。

加藤律は私を記憶を取り戻せる場所に連れて行くと言っていた。

でも、彼と一緒に出かけることの嬉しさは、記憶を探すことよりも大きかった。

今は月島凛に対する嫉妬の気持ちもなくなり、好奇心も薄れたけど、加藤律と一緒に出かけるということは、とてもとても興奮することだった!

授業が終わり、荷物をまとめて帰ろうとしたとき、麦田絵麻からLINEが来た:「南野星、広東料理店に来て助けて、包囲されてるの!」

私はOKのジェスチャーを返した。

こういうことは、義務として当然だよね、私たちが親友だからこそ!

麦田絵麻は追っかけが多く、しょっちゅう私が助けに行かなければならない。

麦田絵麻は以前、いっそのこと私とカップルのふりをしようと言った。そうすれば面倒が省けるからと。