第190章 恋敵

私の口調は誇らしげで自信に満ちていた。

彼は何度も南野氏を私にくれようとした。

私は人からもらう必要なんてない。

南野氏はいずれ私のものになる、自分の力で手に入れるわ！

ただ彼に伝えたかったの、私を甘く見ないでって！

施しなど受け取らない！

月島糸は微笑んだ。「聞いたよ、そのニュースはもう広まってる。南野星、君は今や南野グループの最年少取締役だね」

私は得意げに笑った。

彼はビジネスパートナーだから、彼の前では遠慮することはない。

月島糸の笑顔はとても温かかった。「星、君へのプレゼントを用意したんだ。今日は君と七旦那様に会うとは思ってなかった。本当は明日、学校に届けるつもりだったんだ」

「プレゼント？」私は口の中の食べ物を飲み込み、手を振った。

「いりませんよ、ありがとう！プレゼントなんて必要ないです」私は加藤律の方を見ると、彼の表情が少し冷たくなっていることに気づいた。

突然、加藤律が私にくれた忠告を思い出し、思わず首をすくめた。

慎重に言った。「加藤律がプレゼントをくれるから、他の人からはいりません」

私の気のせいかもしれないが、加藤律の表情が少し和らいだように見えた。

月島糸は加藤律の表情など気にせず、優しく私に言った。「君の年齢でこんな成果を出せるなんて、本当におめでとう。ただ喜びを分かち合いたかっただけなんだ」

「六旦那は南野星が私の婚約者だということをご存知か？」加藤律が突然口を開いた。

私は感じた、周りの温度が一気に20度下がったように。

牛のミノを取ろうと伸ばした箸も思わず引っ込めてしまった。

加藤律は私を睨みつけ、私が諦めたミノを箸で取って私の皿に置いた。

月島糸は表情を変えずに「聞いていますよ」と答えた。

加藤律は言った。「では六旦那には距離を保っていただきたい。南野星は私以外の男性からのプレゼントは受け取らない」

私はミノを食べながら目を細めて笑い、激しく頷いた。

加藤律の嫉妬、大好き！

月島糸は私を一瞥し、加藤律に向かって言った。「南野星はまだ若い。彼女はまだ本当の愛が何かを理解していないと思う。彼女が恋しているのは恋愛そのものかもしれない。たまたま加藤君が彼女のそばにいて、彼女は自分の愛を具体化しただけかもしれない」

私の口は鍋の中の肉団子よりも丸く大きく開いていたに違いない。