第200章 追放

「あなたの持っている証拠を全部買いたいわ」私は冷たい声で言った。

怒りながら話していた坂口澪は一瞬固まった。

「澪さん、あなたの持っている証拠を買いたいの。値段を言って、私があなたを国外に送り出して、新しいアイデンティティで人生をやり直せるようにするわ」私は口調を和らげて、真剣に言った。

坂口澪は困惑した様子で私を見つめた。

「あなたが今言っていた、追い出されそうなおじさんは、私の婚約者なのよ!澪さん、もし証拠を私に渡してくれるなら、条件はあなた次第よ」私は冷静に言った。

坂口澪は私を見つめ、しばらく呆然としてから言った。「証拠だけあっても、証人がいないじゃない!」

私は固まった。

「私は残って証言するわ。命を救ってくれた恩返しよ。もし私の証言が必要なら、いつでも応じるから」彼女は静かに言ったが、その眼差しは揺るぎなかった。

私の携帯が鳴り、取り上げて応対し、それからゆっくりと電話を置いた。

「澪さん、あなたの両親は死んでいないわ」私はゆっくりと彼女に告げた。

坂口澪は「ガバッ」と立ち上がり、震える声で尋ねた。「あ、あなた何て言ったの?」

私は顔を上げて彼女を見つめ、思わず彼女のために喜んだ。「あなたの両親は死んでいないの。彼らは事前に避難させられたわ。あなたの近所の人たちも程度の差はあれ怪我をしたけど、誰も亡くなっていないわ。これであなたはそんな重い負担を背負わなくていいのよ。安心して、近所の人たちの医療費は私が出すわ。災害後の再建も含めて。この条件でどう?」

坂口澪は私を見つめ、数歩後ずさりしてから、ドサッと地面に膝をついて、私に向かって頭を下げた。

私はびっくりして、急いで彼女を助け起こした。「ちょっと、何してるの?」

しかし坂口澪はすでに三回頭を下げていた。「ありがとう!ありがとう!両親を救ってくれてありがとう、ありがとう——」

彼女は泣きじゃくって言葉にならなかった。

私は少し戸惑った。クールに振る舞うことも、ずうずうしくすることもできるけど、こんな風に感謝されたことは一度もなかった。

心の底に言葉では表せない誇りのようなものがあった。

良いことをするのは、幸福感を得られることなんだ。

虎さんたちにも絶対知らせなきゃ!