第199章 供述

「あなた、どうして私を助けたの?」坂口澪はようやく口を開いた。声はすでにかなりかすれていた。

私はほっとした。話してくれるなら対処しやすい。

「あなたを助けたわけじゃないわ。私自身を助けたのよ」私は肩をすくめ、淡々と言った。

坂口澪は驚いた様子だった。

「私は南野星。南野陽太のいとこよ。父は早くに亡くなって、家の財産はすべて叔父の名義になってしまった。私は苦労して南野グループに入ったけど、父のために会社を取り戻す前に、あなたたちの件が起きてしまったの。南野陽太がどうなろうと知らないけど、南野グループは倒れるわけにはいかない。だってそれは私のものだから」私は淡々と言った。

「それが、私とどう関係あるの?」坂口澪は理解できない様子で、腫れた目を水っぽく潤ませ、無邪気に私を見つめた。

私は辛抱強く説明した。「南野陽太がこんな醜聞を起こして、南野グループの株価は暴落したわ。私の利益も損なわれた。もしあなたに何かあれば、南野グループは恐らく閉鎖になるでしょうね。私はお金を失いたくないから、ついでにあなたを救い出したというわけ」

私は知っていた。彼女は今、警戒心が強い。もし私が特別に彼女を救いに行ったと言えば、何か企みがあると思われるだろう。だから、自分のためだと言った方がいい。

案の定、彼女の肩の力が抜けた。

「あなた、こうやって南野陽太に逆らって、結果を考えなかったの?」私はできるだけリラックスした口調で彼女に尋ねた。

坂口澪の目に憎しみが燃え上がった。「どっちにしても死ぬなら、せめて彼女を道連れにできる。もしこうしなければ、苦しい日々がいつ終わるか分からなかった。ただ、父と母を巻き込んでしまうとは思わなかった」

坂口澪は言いながら、また涙を流した。「両親は私のために一生苦労して、私からの恩返しを受ける前に、私のせいで命を落としてしまった。全部私が悪いの。私は地獄に落ちるべきだわ!」

彼女は胸を叩き、足を踏み鳴らし、心を引き裂くように泣いた。

ちっ!

私は顎をさすりながら、黙っていることにした。彼女に少し泣かせておこう。

この気持ちは理解できる。

でもこのやり方には賛同できない。泣いたところで何の問題も解決しない。泣くことで解決するなら、私だって毎日ここに座って泣いているよ。

坂口澪はしばらく泣き続けた後、ようやく落ち着いてきた。