第211章 利益

南野グループが最終的に私の手に落ちたことは、誰も予想していなかったことだろう。

森山五代目の生き血を啜るような攻撃は避けられたものの、これで平坦な道が開けたというわけではない。

幸い南野グループの中核となる力はまだ健在で、利益のために、疑念を抱いていた株主たちも奮い立ち、私と共に外敵に立ち向かわざるを得なかった。

我々がまず行うべきことは陣地を固め、南野陽太親子がグループにもたらした損害を最小限に抑えることだった。

南野風は頭を下げざるを得ず、広報部の付き添いのもと記者会見を開き、健康上の理由で辞任を申し出、さらに娘の結婚式の準備に取り掛かることを外部に明かした。

一方では、もちろん南野お嬢様と加藤家の若旦那様の世紀の結婚式を大々的に宣伝することに力を注いだ。

南野家側は大忙しだったが、加藤家は静かなものだった。

しかし、それがどうした?金さえあれば鬼も動く。我々は当然、勢いを大きく見せ、南野陽太の嫁入りを賑やかにしなければならない。

禍を転じて福となす、これは南野氏がせざるを得ないことだった。

私心では、もちろん私もそうあってほしいと願っていた。

南野陽太が加藤蓮と結婚することは、我々にとっては百利あって一害なしだが、加藤蓮とその背後にある小さなグループにとっては、間違いなく致命的な打撃だ。

この中の重要人物は、もちろん鈴木千代だ。

内も外も、すべてを失う。

しかし鈴木千代は鈴木千代だ。

この女性に対する私の敬意は、また一段階上がらざるを得なかった。

このような不利な状況の中、鈴木千代は帝都新興グループの副社長に華々しく就任した。

帝都新興グループは、七魔のあの数人の大物たちが共同で設立した新会社だ。

社長は月島糸。

加藤家の後継者として最も有力な候補である加藤蓮でさえ、加藤グループの副社長に過ぎない。

加藤蓮と南野陽太の結婚により、鈴木千代は一足飛びに出世した。

麦田絵麻からこのニュースを聞いたとき、思わず鈴木千代に拍手を送りたくなった。

退くことで進む、まさに鈴木千代はそれを完璧に使いこなしている。

南野陽太は最高額の保釈金で保釈され、彼女の背後にあったそれらの事件は最終的にすべて揉み消された。