第212章 才能

私は微笑んで言った。「姫様、物事は表面だけを見てはいけませんよ。南野陽太が加藤蓮と結婚したとして、その後はどうなるの?どうやって生活していくの?加藤蓮は南野陽太のことを利用したいだけで、最初から結婚する気なんてなかったのよ。彼が本当に娶りたかった人は、最初から最後まで鈴木千代だったわ」

麦田絵麻は口を「O」の形に開けたまま、しばらく閉じることができなかった。「じゃあ南野陽太は、寂しい結婚をするってこと?」

今の南野陽太は、前世の南野星だ。

彼女が前世の南野星と同じ道を歩まないことを願うばかりだ。最終的に命まで失ってしまったのだから。

もし本当にそこまで行ってしまったら、南野家も南野陽太を戻らせないだろう。一度加藤家に嫁いだら、加藤家で一生を終えるしか道はない。つまり、すでに南野家全体から見捨てられているということだ。