夜になっても、麦田絵麻は本当に戻ってこなかった。
私は12時まで待って、それから山崎浩介に電話をかけた。
山崎浩介の声はとてもはっきりしていて、聞いただけで全く眠っていないことがわかった。
「南野星?」彼の声には驚きが満ちていて、私が電話をかけるとは全く予想していなかったようだった。
「絵麻は麦田奥様に連れて行かれました。彼女は出かける前に、もし明朝までに戻らなかったら、必ず彼女を探しに行ってと言いました。今は真夜中ですが、明朝まで待ちたくありません。山崎さん、もし彼女の居場所がわかれば教えてください。わからなければ、私が自分で探します」と私は単刀直入に言った。
「南野星、焦らないで。すぐに調べさせるから。安心して、麦田奥様の行方はずっと把握しているから」山崎浩介の口調も一気に真剣になった。