第361章 支える

「もしあなたが私のために銃弾を受け止めてくれなかったら、その場所がちょうどタトゥーのところでなかったら、あなたはあの見えないタトゥーを再び見ることはなかっただろう。だから、平野由奈、私を信じてくれるかい?私は本当にあなたのお父さん、実の父親なんだよ!」月島二旦那の表情は、失ったものを取り戻した喜びと信じてもらえない焦りが混ざっていた。

私は軽く咳をした。「すみません、ちょっと中断させてください。」

全員が私を見た。

「これは月島家の私事だと思います。場所を変えて解決したほうがいいのではないでしょうか?せめて平野由奈さんの病室に戻るとか?そうですよね?個人的には、平野由奈さんがこの事実を受け入れられないのも当然だと思います。彼女は孤児で、入学してからずっと奨学金を返しながら勉強してきたんです。」

「私たちが知る限り、彼女は同時に二つの仕事をしながら、必死に勉強して最高の奨学金を得ようと頑張ってきました。彼女はそのように苦労して大きくなったんです。月島家があろうとなかろうと、彼女はここまで成長し、こんなにも優秀になりました。そうですよね?六旦那?彼女はあなたのアシスタントですから、この点はあなたが一番よくご存知のはずです。」

月島糸は思わず頷いた。

私は微笑んだ。「それなら、場所を変えて、ゆっくり話し合ったらどうでしょうか。私たちのような部外者は、もう関わらないほうがいいでしょう!」

私は「どうぞ」というジェスチャーをした。

月島二旦那はすぐに言った。「そうだそうだ、南野星の言う通りだ、南野星の言う通りだ。南野星、ありがとう!ありがとう!」

彼は嬉しさのあまり混乱しているのだろう、こんな風に私に感謝するなんて。

月島糸が唯一状況を取り仕切れる人物となり、彼は優しい声で平野由奈に言った。「平野由奈、君の病室で話し合おう。」

彼は月島二旦那のボディガードに指示した。「この北野南さんを連れて行って、しっかり面倒を見てあげなさい。」

月島二旦那はすぐに言った。「そうだ、六旦那の言う通りにしろ。この北野南君を家に連れて帰って、しっかり面倒を見るんだ。」

彼は顔を平野由奈に向けた。「彼はあなたの友達なんだよね?安心して、お父さんは必ず彼のことをちゃんと面倒見るから!」