深夜、平野由奈が私を訪ねてきた。
私は彼女に飲み物を一本渡し、バルコニーの籐椅子に座った。深夜の病院も賑やかなものだ。結局のところ、生老病死は昼夜で決まるものではない。
ただ、私たちがいるVIP病室は独立した空間で、言ってみれば、これこそ資本の力だ。
平野由奈は遠くの連絡通路の明かりと、両側に座ったり横になったりしている患者の家族を見て、静かに言った。「かつて私もあの廊下の隅で身を縮めていた一人だったわ。」
私は飲み物を一口飲んだ。「これからはそうならないよ。」
彼女はうなずいた。「でも本来なら、私はあそこで身を縮める必要なんてなかったのよ。」
私は彼女を一瞥して、微笑んだ。「失ったものを取り戻したいの?」
彼女は私を見つめた。「南野星、それはおかしいことかしら?」