第365章 互角

平野由奈と鈴木千代は同じように居心地の悪い立場にいた。

月島家の家系図で認められた実の娘でありながら、実の母親に認められていない彼女の居心地の悪さは、鈴木千代のそれに劣らなかった。

月島奥様の一存で、平野由奈の先祖返りの道は険しいものとなり、平野由奈と鈴木千代の恨みもより深くなった。平野家長男家の嫡女として、華々しく帰還したにもかかわらず、実の母に認められず、巣を乗っ取られたような状況で、苦しみを訴える場所もなかった。

鈴木千代はこれまで月島家で優れた能力を発揮し、年長者からの評価も高く、同世代からも愛されていたため、この養女は一連の騒動によってかえって注目を集め、その風采は本来の主役である平野由奈をも凌ぐほどだった。

最終的に、月島家はもちろん鈴木千代を手放すことはなく、鈴木千代も育ての恩は生みの恩に勝ると考え、月島家のために尽くし、死ぬまで忠誠を誓った。