第459章 墨の桃花

「勿忘草は情の毒、それは情が濃くなった時の恋人の血から作られたもの。最初の勿忘草には解毒剤がなく、堂本彰が聖女の側に留まり、彼女と百年の契りを結ばない限り、死ぬしかない。我々の一族は、後戻りできる道を残さない。その後の勿忘草は、すべて模造品だ」と祖母は軽蔑したように言った。

「我々の一族?つまり、あなたと聖女は同じ部族の出身なの?」私はすぐに祖母の言葉の重要な点を捉えた。

祖母は苦々しく笑った。「そう、あの代の聖女は私の姉だった。私は家族の中で一番下の娘で、あの大惨事の中で殺されずに、ただ誘拐されて売られただけだった。でも私は運が良くて、堂本遥華に出会った」

彼女は長く息を吐いた。「それはまた別の話だけど、堂本彰が犯した大罪は堂本家の本意ではなかった。だから堂本彰が原始の村を襲撃した時、堂本遥華はすでに馬を走らせて彼の後始末をしていた。誘拐された女性や子供たちを堂本遥華は代価を惜しまず救い出し、元の地に送り返した」