第466章 偽善

刑務所から出て、私は少し途方に暮れていた。運転手に市の中心部で降ろしてもらい、ぶらぶらと歩いて南野氏の元本社に向かった。今ではここは月島糸たちのユナイテッド株式会社の本社になっていた。

私は向かいのカフェを見つけ、座ってコーヒーを一杯注文した。

店員がコーヒーを持ってきたとき、私は振り向きもせずに「ありがとう」と言った!

向かいの席に誰かが座った気配がして、やっと顔を上げた。

鈴木千代!

彼女はいつもと変わらず、きちんとまとめた髪、きびきびとしたスーツ姿、完璧なメイク、一分の隙もない。

私は軽く唇を引き締めた。

鈴木千代は私を見つめ、いつもの親しげな思いやりは消え、眉間にはどこか物憂げな表情を浮かべていた。

「南野星、こんにちは」

「こんにちは」私はそっけなく返した。

「私は、あまり元気ではないの」彼女は静かに答えた。

また始まった。

私はコーヒーを手に取り、一口飲みながら、彼女の続きを静かに聞いた。

「南野星、七旦那様がとても重病だと聞いたけど、本当?」彼女は尋ねてきた。その表情には心からの心配が浮かんでいた。

私は指でカップの縁をなぞりながら言った。「本当かどうか、わざわざ私に確認しに来なくてもいいでしょう。加藤家は今や内も外も、どれだけのスパイが潜んでいるか分からないのに、なぜわざわざ?」

鈴木千代はため息をついた。「南野星、結局私たちは友達になれなかったのね、どれだけ努力しても」

私は笑った。「鈴木千代、もういいでしょう。分かっている人の前で知らないふりはやめなさい。これらすべての元凶に、あなたも加担していたんじゃないの?」

鈴木千代の表情がぎこちなくなった。「南野星、これで私たちは敵同士になったということ?」

私は振り返って、かつての南野氏ビルを見つめ、軽くうなずいた。「実際、私とあなたたちの間は、ずっとこうだったのよ。あなたたちがずっと平和を装い、敵対したくないと言いながら、裏では私の命を狙う行動をしていた。鈴木千代、私は疲れたわ。あなたとこんな芸術的なゲームをするつもりはない」

鈴木千代はついに黙った。