第466章 偽善

刑務所から出て、私は少し途方に暮れていた。運転手に市の中心部で降ろしてもらい、ぶらぶらと歩いて南野氏の元本社に向かった。今ではここは月島糸たちのユナイテッド株式会社の本社になっていた。

私は向かいのカフェを見つけ、座ってコーヒーを一杯注文した。

店員がコーヒーを持ってきたとき、私は振り向きもせずに「ありがとう」と言った!

向かいの席に誰かが座った気配がして、やっと顔を上げた。

鈴木千代!

彼女はいつもと変わらず、きちんとまとめた髪、きびきびとしたスーツ姿、完璧なメイク、一分の隙もない。

私は軽く唇を引き締めた。

鈴木千代は私を見つめ、いつもの親しげな思いやりは消え、眉間にはどこか物憂げな表情を浮かべていた。

「南野星、こんにちは」

「こんにちは」私はそっけなく返した。