第502章 記憶喪失

半夏はすぐに目を見開いた。「私の財布はお嬢様からいただいたものです!」

私はうなずいた。「うん!なくしたの!」

半夏はすぐに袖をまくり上げた。「ありえません!このお嬢さんは天の果てまで追いかけてでも取り戻します!お金をなくすのはいいですが、財布はなくせません!お嬢様からいただいたもの、宝物のように大切にしています!」

私は笑った。どんなに批判されても、おべっかは効くもの。半夏が私からもらった財布をお金よりも大切にしているなんて、嬉しかった。

「半夏、私は記憶をなくしたの。取り戻したいの、あなたに贈った財布と同じくらい大切なものだから!」と私は静かに言った。

半夏は一瞬固まり、つばを飲み込んで小さな声で言った。「財布なら、見つけやすいです。この島はそれほど大きくないですから、半月もあれば隅々まで探し尽くせます。でも記憶は、探しようがありません。」