藤丸詩織は久我湊から渡されたノートパソコンを受け取り、さっと目を通しながら、素早くキーボードを叩き始めた。
十数分後——
藤丸詩織はリラックスした表情で椅子の背もたれに寄りかかり、穏やかな口調で言った。「もう処理は終わったわ」
久我湊はパソコンを抱えながら、興奮した様子で話し始めた。「さっきこのコードを見た時、完全に頭が真っ白になって、どうすればいいか分からなかったんです。なのに部長はこんな難しい問題をあっという間に解決してしまうなんて、本当にすごいです!」
久我湊はそう言いながら、少し落ち込んだ様子を見せた。「僕も部長みたいに凄くなれたらいいのに。そうすれば、わざわざ部長を煩わせることもないのに」
藤丸詩織は軽くため息をつき、久我湊を見つめながら慰めた。「あなたも十分凄いわよ。さっき履歴を見たけど、この三年間であなたは彼の侵入を何百回も防いでいるわ。今回の相手は確かに技術が高かったから、どうすればいいか分からなくなるのも当然よ」