041 お姉さんを家に迎えに行く

藤丸詩織は久我湊から渡されたノートパソコンを受け取り、さっと目を通しながら、素早くキーボードを叩き始めた。

十数分後——

藤丸詩織はリラックスした表情で椅子の背もたれに寄りかかり、穏やかな口調で言った。「もう処理は終わったわ」

久我湊はパソコンを抱えながら、興奮した様子で話し始めた。「さっきこのコードを見た時、完全に頭が真っ白になって、どうすればいいか分からなかったんです。なのに部長はこんな難しい問題をあっという間に解決してしまうなんて、本当にすごいです!」

久我湊はそう言いながら、少し落ち込んだ様子を見せた。「僕も部長みたいに凄くなれたらいいのに。そうすれば、わざわざ部長を煩わせることもないのに」

藤丸詩織は軽くため息をつき、久我湊を見つめながら慰めた。「あなたも十分凄いわよ。さっき履歴を見たけど、この三年間であなたは彼の侵入を何百回も防いでいるわ。今回の相手は確かに技術が高かったから、どうすればいいか分からなくなるのも当然よ」

久我湊は藤丸詩織の慰めに笑顔を見せたものの、心の中はまだモヤモヤしていた。「部長、相手は絶対に諦めないと思います。きっとまた部長のことを探ろうとするはずです。当時、人々を治療した時に既に伝えてあったのに。部長は行方を追われるのが嫌いだって。なのにどうして、まだ部長のことを探ろうとする人がいるんでしょう?」

久我湊の言葉とともに、藤丸詩織の思考は徐々に五年前へと遡っていった。

当時はまだ結城のお父さんも健在で、彼女は温室育ちの姫のように、何の悩みもなく、自由気ままな日々を過ごしていた。世界中を旅して、様々な場所を訪れ、多くの人々を助けた。そうして次第に、彼女のことを知る人が増え、名医という呼び名が広まっていった。

久我湊は藤丸詩織が長い間黙っているのを見て、きっと怒っているのだろうと推測し、目を伏せながら探るように尋ねた。「今回は根本的に解決して、相手を完全に排除してしまいましょうか?」

藤丸詩織は我に返り、気持ちを落ち着かせてから、のんびりとした口調で答えた。「そこまでする必要はないわ。相手があそこまで必死に私を探しているということは、きっと重要な用件があるのでしょう。もし本当に私を見つけることができたら、それも何かの縁。彼らにその力があるかどうかってことね」