「お会いにならない?」
秘書は信じられない思いで、何度も確認してみたが、やはり同じ文字が書かれていた。桜井グループは国内外で影響力のある企業なのに、藤丸社長は会わないと言うなんて!
そんなはずはない、藤丸社長はきっと会社を引き継いだばかりで、現在のビジネス界の状況をよく理解していないのだろう。
桜井グループとの協力が会社にもたらす可能性のある利益を考えると、秘書は少し考えた後、独断で桜井家からの招待を承諾することにした。
将来、協力関係が始まって会社が発展していけば、藤丸社長も彼女の今日の賢明な判断を思い出すはず。そうすれば昇進や昇給もあり得るかもしれない!
藤丸詩織は秘書がこのような独断専行をしていることを知らなかった。もし知っていたら、即座に解雇していただろう。