113 お姉ちゃん怒らないで

桜井蓮は顔を曇らせ、冷たい声で言った。「無駄だ。責任者は誰かに指示されているはずだ。私たちが千倍の金を出しても、彼らは折れないだろう」

高遠蘭子は呆然として、ぼんやりと口を開いた。「誰かに指示されている?誰がそんな大胆なことを?藤丸詩織、きっと藤丸詩織よ!」

桜井蓮は高遠蘭子が藤丸詩織の名前を口にするのを聞いて、眉をひそめたが、すぐに表情を和らげ、相良健司に命じた。「メインの電線を破壊してこい!」

相良健司は電力設備の破壊は違法だと言いかけたが、桜井蓮の険しい顔を見て、一言も言えなくなり、急いで人を連れて実行に移した。

そうして、しばらくすると、騒々しい音楽は finally消えた。

音楽は消えたものの、結婚式の会場の来賓とライブ配信の視聴者も大幅に減ってしまった。

高遠蘭子はそれを知って、さらに表情が暗くなった。ライブ配信の視聴者については仕方ないかもしれないが、会場の来賓は全員知り合いだ。結婚式が終わったら、一人一人に清算してやる!

音楽が止まった後、藤丸詩織はようやく衝撃から我に返り、橘譲に向かって尋ねた。「お兄さん、これはあなたたちの仕業?」

橘譲は困惑して首を振り、不思議そうに言った。「違うよ。私たちの計画はまだ始まってないんだ。でも桜井蓮があんなに煩わしい人間だから、他にも結婚式で何かしたい人がいるんじゃないかな」

橘譲の言葉が終わるか終わらないかのうちに、藤丸詩織の携帯が鳴った。

藤丸詩織は着信の表示を見て、少し驚いた。まさか榊蒼真からの電話とは。

藤丸詩織は電話に出て、笑いながら尋ねた。「コンテストは終わったの?」

榊蒼真は長谷正樹に海外へ連れて行かれてから初めて知ったのだが、ショーだけでなく、クローズドの大会もあったのだ。そのため、これまで榊蒼真が藤丸詩織に連絡を取る機会は特に少なく、合わせても数回程度だった。

榊蒼真は藤丸詩織の声を聞いて、胸に刺されたような痛みを感じ、低い声で言った。「まだ...でも休みを取ったんだ!そうそう姉さん、桜井蓮の結婚式見た?」

藤丸詩織は反射的に答えた。「見たわ」

藤丸詩織は答えた後、突然ある可能性に気付き、驚いて尋ねた。「結婚式であの音楽を流したのは、あなた?」

榊蒼真は頷いて答えた。「そうだよ!」